Bukhara (Uzbekistan)

リーのジャマー・マスジドには「シャーヒー・イマーム」と呼ばれる世襲の称号を持った宗教指導者がいる。現在のシャーヒー・イマームはサイヤド・アハマド・ブカーリーである。シャージャハーンがジャマー・マスジドを建造したとき、このモスクのイマーム(指導者)としてブハーラーから適切な人物を呼び寄せたのがこの家系の起源であるらしい。現在では、シャーヒー・イマーム(皇帝のイマーム)といっても国内の全イスラーム教徒を統括するような立場にないが、それでもかつての皇帝から最大のモスクを任された由緒ある家系として、デリーでは一目置かれる存在である。

 ウズベキスタン旅行の総括はこちら

 サイヤド・アハマド・ブカーリー。ヒンディー語では彼のタイトルを「ブカーリー」と読むことが多いが、「ブハーリー」とカタカナ表記してもよい。どちらにしても「ブハーラーの人」という意味である。なぜシャージャハーンはわざわざブハーラーからイマームとなるべき人物を呼び寄せたのか。それは、ブハーラーがイスラーム世界における文教都市として、バグダードに次ぐ地位を確立していたからである。学者ムハンマド・アル・ブハーリー、詩人ルーダキー、学者イブン・スィーナー、詩人フィルドウスィーなど、ブハーラーは世界に名だたる偉人を輩出してきた。もちろん、ブハーラーはシルクロードのオアシスとして栄えた町のひとつでもあるのだが、イスラーム世界におけるこの圧倒的な地位こそ、ブハーラーの人々が本当に誇っていることである。

続きを読む
2017年1月14日 | カテゴリー : 旅誌 | 投稿者 : arukakat